2006年 02月 06日
佐藤優『国家の罠』 情報の担い手 |
86頁
国際情報屋には、猟犬型と野良猫型がいる。猟犬型の情報屋は、ヒエラルキーの中で与えられた場所をよく守り、上司の命令を忠実に実行する。全体像がわからなくても危険な仕事に邁進する。野良猫型は、たとえ与えられた命令でも、自分が心底納得し、自分なりの全体像を掴まないと決してリスクを引き受けない。独立心が強く、癖がある。しかし、難しい情報源に食い込んだり、通常の分析家に描けないような構図を見て取るのも野良猫型の情報屋である。
それから、情報入手の手法は、虎式と蜘蛛式に分かれる。虎式は、獲物の通り道を見つけ、誰にも見えないような場所でひたすら待つ。そして、獲物が近づいたら一気に襲いかかる。蜘蛛式は、獲物の通り道をそれほど詳しく調べたりはしない。幅広く網を張る。そして獲物がかかるのを待つ。(略)諸外国の専門家たちから、「佐藤さんは蜘蛛式が得意だ」とよく言われた。
189頁
情報専門家の間では「秘密情報の九十八パーセントは、実は公開情報の中に埋もれている」と言われるが、それを掴む手がかりになるのは新聞を精読し、切り抜き、整理することから始まる。情報はデータベースに入力していてもあまり意味が無く、記憶にきちんと定着させなくてはならない。この基本を怠っていくら情報を聞き込んだり、地方調査を進めても、上滑りした情報を得ることしかできず、実務の役に立たない。
こうした情報を扱う点についての指摘は、国際政治だけでなく、史学や、それこそ外食だったり趣味のことだったりという様々なことに言えると思うのです。上のようなことが色々作用して、人それぞれの情報に対する感度の違いが出てるんでしょうね。
189頁の文章については随分前に聞いたことがあります。国際関係学の世界では有名な話です。
国際情報屋には、猟犬型と野良猫型がいる。猟犬型の情報屋は、ヒエラルキーの中で与えられた場所をよく守り、上司の命令を忠実に実行する。全体像がわからなくても危険な仕事に邁進する。野良猫型は、たとえ与えられた命令でも、自分が心底納得し、自分なりの全体像を掴まないと決してリスクを引き受けない。独立心が強く、癖がある。しかし、難しい情報源に食い込んだり、通常の分析家に描けないような構図を見て取るのも野良猫型の情報屋である。
それから、情報入手の手法は、虎式と蜘蛛式に分かれる。虎式は、獲物の通り道を見つけ、誰にも見えないような場所でひたすら待つ。そして、獲物が近づいたら一気に襲いかかる。蜘蛛式は、獲物の通り道をそれほど詳しく調べたりはしない。幅広く網を張る。そして獲物がかかるのを待つ。(略)諸外国の専門家たちから、「佐藤さんは蜘蛛式が得意だ」とよく言われた。
189頁
情報専門家の間では「秘密情報の九十八パーセントは、実は公開情報の中に埋もれている」と言われるが、それを掴む手がかりになるのは新聞を精読し、切り抜き、整理することから始まる。情報はデータベースに入力していてもあまり意味が無く、記憶にきちんと定着させなくてはならない。この基本を怠っていくら情報を聞き込んだり、地方調査を進めても、上滑りした情報を得ることしかできず、実務の役に立たない。
こうした情報を扱う点についての指摘は、国際政治だけでなく、史学や、それこそ外食だったり趣味のことだったりという様々なことに言えると思うのです。上のようなことが色々作用して、人それぞれの情報に対する感度の違いが出てるんでしょうね。
189頁の文章については随分前に聞いたことがあります。国際関係学の世界では有名な話です。
冷戦時代にアメリカ国内でもっともソ連の分析がうまかった人は政府系シンクタンクの人ではなく、民間の一研究者だった。彼の情報源はソ連の高官などではなく、米国でも閲覧可能なソ連の新聞であった。彼はその情報を精査し、自分なりに分析し、政府よりも精確なソ連像を描いてみせたのである。一度でいいから、こういう評価を得てみたいですね。…史学の分野でですが(笑)
by scluge
| 2006-02-06 07:49
| 本読風情