2006年 02月 16日
反町茂雄『一古書肆の思い出』 (1)修行時代 |
反町茂雄氏の『一古書肆の思い出』を知ったのは、司馬遼太郎の『街道をゆく・神田界隈』の“反町さん”という項に寄ります。
脱線になりますが、神田には三人の茂雄がいたとか。岩波書店の岩波茂雄、岡書店の岡茂雄、そして古典籍弘文荘の反町茂雄。…長嶋茂雄が立教でなく日大だったら4人目…?
で、反町氏は古典籍専門なのでブタベはあまりその著書を読む気は無かったのですが、蒲郡に来て図書館で表題の本を見つけてしまったので読んでみました。まだ第1巻だけなのですが、自伝というより、大正~昭和初期の神保町の記録、という感じで本読みにとっては非常に楽しい本です。
学生時代の恩師に『敗戦直後の混乱期だからこそ、いい本が買えた』という話は聞いていたのですが(当時、恩師は約二十歳の東大大学院生)、なんとなくこの本で合点がいくようになりました。反町氏によると“貴重書の暴流氾濫時代”だったそうですが。
さて、本文。282ページの『空前絶後の店員雑誌』の項。神保町の若旦那衆が同人雑誌『書物春秋』を出して、業界を賑わしていたころの話です。その創刊号(昭和5年10月)の巻頭の辞が出ているのでそちらを引用。
この本、食事中に詠むことにしているのですが、しょっちゅうオーダーが入るのでさっぱり読み進みません。はたして蒲郡にいるうちに最終第6巻まで読み終わるのか、少々不安になります。
脱線になりますが、神田には三人の茂雄がいたとか。岩波書店の岩波茂雄、岡書店の岡茂雄、そして古典籍弘文荘の反町茂雄。…長嶋茂雄が立教でなく日大だったら4人目…?
で、反町氏は古典籍専門なのでブタベはあまりその著書を読む気は無かったのですが、蒲郡に来て図書館で表題の本を見つけてしまったので読んでみました。まだ第1巻だけなのですが、自伝というより、大正~昭和初期の神保町の記録、という感じで本読みにとっては非常に楽しい本です。
学生時代の恩師に『敗戦直後の混乱期だからこそ、いい本が買えた』という話は聞いていたのですが(当時、恩師は約二十歳の東大大学院生)、なんとなくこの本で合点がいくようになりました。反町氏によると“貴重書の暴流氾濫時代”だったそうですが。
さて、本文。282ページの『空前絶後の店員雑誌』の項。神保町の若旦那衆が同人雑誌『書物春秋』を出して、業界を賑わしていたころの話です。その創刊号(昭和5年10月)の巻頭の辞が出ているのでそちらを引用。
『書物春秋』は、根強いコンマーシャリズムの殻を破り棄てて、本屋の真意義に生きようとする青年古本屋の社会に呼びかくる第一声である。(略)『書物春秋』は若輩十人の真摯な努力によって生まれた。しかし未生品自らが作った未生品に過ぎない。我々はこの二つの未生品の完成に向かって、ひたすら精進せんとしている。27,8歳からの人たちだったということで、ほぼ同じ年齢になってしまった身としてはこの盛んな意気がうらやましくもあり、悔しくもあり、です。
この本、食事中に詠むことにしているのですが、しょっちゅうオーダーが入るのでさっぱり読み進みません。はたして蒲郡にいるうちに最終第6巻まで読み終わるのか、少々不安になります。
by scluge
| 2006-02-16 06:57
| 本読風情